2020年7月19日日曜日

Harmoni その3

いいことがあって、うわつきました!
伊藤文子です。

今回も引き続きHarmoni解説です。
その1では画材やサイズ、ストーリーについて。
その2は作画に至る経緯。
そしてその3の今回はプロセス、どのような過程を経て出来上がったのかを
ご説明申し上げます。

もともと布絵本として出来上がった原案「月と太陽の指環」がありました。
この話は簡単に言うならば、男の子が指環を作る話です。
ですので、それまで重ねた取材や、ノルウェーに着目し、
楽器を描くことで本領が発揮されるのでは無いかと考えました。

だけれども。。やはり弦楽器の経験がないので、弦楽器を知ることから
はじめて、音を感じ、ハーディングフェーレの響きを再確認しなければ
難しいのだろうという結論に至ったのです。
頭にはこうしたい、こんな感じというイメージがぼんやりあっても
なかなか表現できず、フラストレーションでした。
作画のためのノルウェー体感要素は足りているとわかっていたので、
楽器や奏でに着目することにしました。
そして、いきなり経験のない弦楽器に触れるのはそれなりの覚悟が必要でしたので、
まずは高校時代の友人とオーボエのリード屋さんを覗いてクラシカルな
楽器に触れる準備をします。
友人が楽器に触れる姿勢やお店の中の雰囲気、同じ空間に同じ楽器が数本、
そしてそれぞれ違った奏で。
人と自然素材の振動というのは単純に奥深いなと思いました。

ダブルリードはよく見るとピーピー豆の断面に似ています。

日本でプロのハーディングフェーレ奏者をされている方は、
ヴァイオリンを演奏なさる方が多いようで、かといって私は
演奏と言うより作る方の側を知りたかったので、知り合いのつてを辿り
まずはバイオリン工房の職人さんにインタビューをさせていただき、
少しだけ、入口に入った気がしました。
その時に快く工房見学とお話をしてくださったバイオリン製作者の
河村盛介さんにはとても感謝しております。
どことなく木の妖精のように平和な方でした。


河村さんの工房のお道具たち。かわいらしいです。

ハーディングフェーレとヴァイオリンは別のもの、と知ってはいたのですが、
プロのお話を聞くほどに、それを実感しました。
描くべきはハーディングフェーレなので、ここでやはり
ハーディングフェーレ製作密着をと原さんにお願い、、、
したつもりでおりました。
けれども、この作業が見たい、と言うわけでもなく全体的に感じたかったので、
原さんもどこを見せたらいいかわからなかったようで、
製作作業は進んでいるのに私は見学できない状態が続きました。
そりゃあ、そうよね、仕事場なのに日がな年中見せてくれと言うのも
無理な話です。

そこで、では私がつくればいいのかな?と思い「楽器つくります!」
と、もはや弟子入りの決意(??)と共にお願いし、
製作に取り掛かかることになりました。半ばやけで始めた製作で、
全然進みませんし、もしも出来上がっても演奏できないし、、、となり。。。
そして、では演奏の勉強も!となり、初心者にも優しい島村楽器さんで
ヴァイオリンのレッスンを開始。

借り物の初心者用バイオリン

毎日30分練習曲の練習です。島村楽器の方々にも偉いですねと褒めらるほどでした。
ここですぐにハーディングフェーレを始めればよかったのですが
マニアックな楽器なので、習える環境も限られます。
と言うわけで結局ヴァイオリンになりました。
家ではヴァイオリンの練習、工房でハーディングフェーレ作りの勉強、
原さんのハーディングフェーレをこっそり鳴らして顔色を伺ったりと。
面白いのが原さんの反応で自分が音を出せていないのがわかったところです。
目は口ほどにものを言うと言うのは本当です。

フェーレを作るもとの板を貼り付ける作業
緊張の瞬間で手の動きに躍動感があります。

なんとなくハーディングフェーレを体感できず、もやもやしていたところで
遂に、ハーディングフェーレ演奏のお教室に行きます。
場所は巣鴨のレソノサウンドさん。
この時の先生で、またミニインタビューに答えてくださったのが
演奏家の野間友貴さんです。大変にわかりやすく教えてくださって、
私が知りたかった弓と弦と体と大地が共鳴する感覚を与えてくださったことに
感動しました。特に私が楽器を持ち、野間さんが弓で弦を弾いてくださった時に
楽器が鳴ると言う感覚を強く感じました。楽器が体の筋肉や関節と一体化して
肉体の全てが楽器の一部になると天地人の状態で奏でられるのかな?と思えて、
これはとてもいい経験でした。
天と地の間に人が立ちその二つを繋ぐよう響かせるとでも言いましょうか。。
バイオリンやハーディングフェーレは楽器の中に一本、魂柱と呼ばれる棒が
立っており、それが音を響かせる重要な役割を果たしていますが、
楽器の表板と裏板を天と地とした場合、魂柱は私が体験した体が響く感覚
を担って居るのだなと思いました。この棒は英語でたぶんサウンドポスト?
と言う名前だったと思います。夏目漱石が魂柱と訳したらしいのですけど、
漱石の感性には感服します。

野間さんがお持ちの楽器(のはず。。)

頭部を見てフェーレ製作の間に描いたカラフルデッサン

ここで私は、フェーレ作り、バイオリン演奏、フェーレ演奏と、もう手一杯。
どこへ行きたいのだろうかとなるほどです。
譜面が多少読めたのはせめてもの救いでしたが、
音と色、描く、ノルウェーなどフラグが立ちすぎて頭はパンク寸前です。
そしてさらに、不思議なご縁のお友達、ピアニストの安保美希さんに
お誘いいただいて彼女のイベントでフィンランドでヴァイオリニストを
されている方に色と音について質問したり、
また安保さんの生演奏を色と形にして確認したり。もう大変です。単純に疲れます。

この状態でパンパンになりながら、大きなキャンバスにこの全ての
経験を注ぐことになったのです。
描くことにつまづいたとき、製作途中の写真を見せては原さんの意見を
参考にしたり、イメージにあった曲を聞いたり。
たくさんの過程を経て一つの作品となったのでした。

書き連ねると多くの方にお世話になったな〜と実感します。
みなさま本当にお世話になりました、そしてありがとうございます。
全て自前で経験したので、これがどうにか次回の製作の足しになれば
いいのですが、、、どうにか次の製作費用を捻出しなきゃ!と思うのだけども。
そこだけはいまだに苦手で。あぁこれではいわゆるお金のない芸術家です。。。
みなさまこれをどんな形の製品にして手元に置きたいですか??
と、今はそればかり気になる毎日です!(笑)

でも、この絵でみんなの心が暖かく元気で、本当に健やかに
そして真に癒されればそれが私の幸せであり、本望です。
このシリーズは続けて描きたいと考えています。
たくさんの作品を展示できるその日まで精進です。

Harmoni総まとめでした。
Tusen takk for alle!


◉お世話になった皆さま

バイオリン製作家の河村盛介さんのページ

初心者もOK島村楽器さん

北欧楽器などの貸出、レッスン練習のできるレソノサウンドさん

演奏家の野間友貴さんのページ

ピアニストの安保美希さんのページ


2020年7月17日金曜日

Harmoni その2

早くキラキラの太陽に会いたい!
伊藤文子です。
前回に引き続き大作(?)Harmoniの解説をいたします。

その1では画材や、サイズ、ストーリーなどを解説いたしました。
その2では経緯をご説明しようかと思います。

もともとこの絵を描くきっかけになったのはもちろん私の大切な場所
ノルウェー・ハルダンゲル地方の影響が強くあります。
作品作りのインスピレーションの泉は、多くの場合ノルウェーなのです。

Harmoni誕生までの道のりのスタートは2018年まで遡ります。
西ノルウェーの伝統民族楽器、ハーディングフェーレの製作やリペアをなさる
職人さんとお会いしたのが始まりです。

その職人さは原圭佑さんと言う方で、私の心のふるさとハルダンゲル地方
の伝統楽器の製作を学ぶためノルウェーに単身渡航されました。
私が帰国する前に現地の知り合いから彼の話だけ聞いており、
彼が私の絵本を現地で買い、そして、2018年の初頭に日本で初めて
お会いしました。

すでに秋の個展企画を考えていた私は、すぐにコラボのお願いをして、
原さんからは引き受けてくださる雰囲気だったので、
一緒に何か作るのは楽しいだろうと思っていました。
夏たまたま同じ時期にノルウェー滞在となったので、原さんがどんなものを
作りたいのか、話したり探ったり調べたり、
ハーディングフェーレの工房見学までしたのですが、
結局原さんからは指輪という答えしか返ってこなかったので
それをヒントに私は絵本を作ることにしました。

この楽器には住んでいた時、触れる機会が多かったのですが、
プロでは無いのでやはり色々知るのも大変でしたし、原さんから何か
引き出すこともできず、なんとも煮え切らない思いのまま
どうにか指輪を作る小さなお話を作りました。
そして、原さんの手作り指環と私の手作りの布絵本にしました。
これが「月と太陽の指環」です。




布絵本に加え、あとがきつき冊子も個展で販売しました。
あれ?Harmoniは?と思われるかもしれませんが
そうHarmoniの元は月と太陽の指環なんです。
月と太陽の指環は縦長、上下に目が動くように作られており、上に女の子
下に男の子の構図で作られています。
この子たちを本来あるべき姿に近づけたのがHarmoniかなと思っています。


どうしてHarmoniを描いたかと言うと、せっかく職人さんの取材をしたのに
楽器のひとつも登場しないのが残念だなと思って、どうしても
ちゃんと描きたかったんです。ノルウェーと言う場所と伝統の楽器、
音や色、それをしっかりしたものにしたいと思ったのが経緯です。

そして実は工程がかなり大変で、それについてはその3でお話ししましょう!
Ha det bra!

月と太陽の指環の小冊子はこちらで販売中
https://zine.mount.co.jp/98# (7/19までの予定です)

原圭佑さんのページ
https://www.keisukehara.com/

2020年7月16日木曜日

Harmoni その1

梅雨寒、伊藤文子です。
冬物はしまったんだけど、寒いような、暑いような
そんな日ですね。
今日は私の大きな絵画について説明します。

ノルウェー暮らしの経験もあって、常日頃から言葉よりも
ただ感じるもので世界中の人に伝えたいと考えています。
でも、いつもどこへ行っても今の世の中は説明、プレゼンで、
どうしてこんなに感受性が豊かじゃないのだろうと思う事が多いです。
そんな折、色々な方がSNSを活用し、作品発表とともに
制作過程などを話されているのをみて、わかりやすく噛み砕くのも
いいのかなぁと感じました。ですので、今回は絵について
お話しします。

Harmoni (調和)
これはノルウェー語です。英語で言うとharmonyです。
P100と言う私にとっては大きな162㎝×112㎝と言うサイズです。
横幅は私より大きいです。
使用画材はズバリ色鉛筆のみ。それはそれは私にとっては大きな戦いでした。
ふんわりした色合いを出したければパステルの方が楽だろうな
と思ってはいたんですが、そこは無駄にこだわりがあったのか、
なかったのか、全て色鉛筆でしあげました。大切に描きたかったんです。
ほぼ毎日少しずつ描いていっておよそ2ヶ月弱。。いや
1ヶ月半かな、とにかくそのくらいの時間がかかりました。
 


左下に男の子、右上に女の子そして海の景色。
海の景色、これは私がノルウェーで暮らしたハルダンゲル地方の景色
がベースになっています。フィヨルドの海と山そして帆船。
静かな海に帆船が描く水面、田舎町を思わせる小さな家々、とノルウェー
の田舎を訪れたことのある方ならなんとなく理解してくださるように思います。



男の子は西ノルウェーの伝統楽器ハーディングフェーレを奏でています。
そして上の女の子は明らかに人間ではないですね。
確証はないんですが雲の上から地上を覗いては、光の雨を優しく降らせて
人々の良き行いを助ける、そんな存在です。
彼女はまだ半人前の天上人(?)、そして男の子もまた学びの中におり、
男の子は空の上に、そしてなるべく広くたくさんの人に美しい響きが
届くように努力を重ね、奏でている。
それをいつも見守っている女の子は、そっと手助けしたいと
月や太陽の光のを日々集めそれを天上から雨のように注ぎ
地上の響きと共鳴し、ひとつの調和が生まれる。
そんな物語を思い浮かべながら描きました。

説明を書き上げると自らの想像力に、恐怖さえ覚えます。
お前の頭の中、とんだメルヘンだなっ!となります。笑

この絵を描くのにハーディングフェーレの曲は勿論、なぜかユーミンの曲を
たくさん聞きました。
左下からハーディングフェーレの音、右上からはユーミンの音なのでしょうか・・・
作者本人は感覚だけで描いているのでよくわかりませんが
そうやって制作したのは事実です。

天と地の調和と共鳴のような、平和で清い心に愛情が宿るというような
神話チックな絵です。
この作品の中に色は勿論のこと、音や光、愛情、慈雨、自然など
色々な要素が含まれていてタイトルづけに困りました。
数々の芸術家が「無題」と言う作品を多く残したのにも納得です。

さて、ではどうしてこの絵を描くことになったのか。。。
これについては次回にしましょう!

記入の無い絵を見たい方は現展のページへどうぞ!
http://art-genten.com/tenrankai.html

Tusen takk for deg!

2020年7月14日火曜日

大きな絵画作品展示!!

太陽光がもう少し欲しい気分。伊藤文子です。
梅雨でおてんとさまがあんまり顔を見せてくれません。
お庭の植物たちもなんだかしょんぼりしていて
なおかつ土もじっとりです。

さて、そんなジメッとした今日この頃、みなさまに
元気を出していただけるような絵が展示できることになりました。
というより、展示されています!
人生初100号をいう身長よりも大きなサイズの絵を描き、
このほど現代美術家協会主催の現展に入選いたしました!

この絵は人を元気にする絵だと思っていたんんですが、なにぶん
どこで展示すべきか、どうしたら私の作品で人を癒し、元気づけられるか、
たくさんの人に見て心身ともに健康になって欲しい、色々な思いがありました。
ついにみなさんにお見せできる場が頂けて本当に嬉しい限りです。

現展は当初は国立新美術館や都美術館、愛知芸術文化センターなど
色々な場所での展示が予定されていましたが、残念なことにコロナで中止です。
しかし!今年限りですが、web展覧会が催され、どなたさまも、いつでも、
世界中どこからでもご覧いただけます!
Harmoniというタイトル絵が私の作品です!
絵についての解説は次回のブログで書いていくつもりです。

http://art-genten.com/tenrankai.html

2020年7月4日土曜日

空想ユートピア~いのちの地球~展 Ⅴ

7月になってしまいました、いとうあやこです。
なんと、もう後半。
いかがお過ごしでしょうか?

本日無事、搬入に行ってまいりました。
そしてその後すぐにオープンです!
今まで展示販売は布ものばかりでしたので、今回なんとなく
新鮮でした。
絵画を他の作家さんとギャラリーに展示、そして販売は
ノルウェー以来だろうか。。。

9枚の絵と少しのポストカード
ポーチが並んでいます。

今回在廊の予定はたっておりませんが、
行かれそうな場合はSNSでお知らせいたします。
私の作品でみなさまが元気になってくだされば私は幸せです!
では!

空想ユートピア~いのちの地球~展 Ⅴ 2020.7/4(土)~7/17(金) 会場:AAA GALLERY ALL ROOM みなとみらい線 / 元町中華街駅3番口徒歩1分
https://artaraqasia.com/access/




2020年6月30日火曜日

Blogの更新について

Hei、お久しぶりです、みなさま!いとうあやこです。
とても久しぶりの更新です。

昨年からなんの予告もなくブログの更新が途絶えておりました。
いつも読んでくださってた方には申し訳なく思っております。
なぜ途絶えていたかと申しますと、昨年ひるねこBOOKSさんでの
オーダーイラスト企画「絵で紡ぐみち」のために
それはそれは重ぉーーーい腰をあげて
Twitterを開始したからです。
しばらくはなれないツイートに一生懸命になり、ブログに費やすエネルギーを
そちらに傾けて、昨年はなんとか呟く事が出来たなと思っています。

個人的には文面というのが本当に苦手で、読むことが苦以外の
何物でもないのでTwitterを上手に使えている自信は皆無です。
でもフォローをしていただいたり覗いていただいているようでよかったです。

読むのが苦というのも、私本人がおそらく学習障害の一種を
持っているからだと思います。
これも今年に入って調べるつもりでいましたが、かるく30年以上
読めない状態で生きてきて、それこそ不要不急な検査になるなぁと思ったので
しばらくは診断ということはおいといて、できることに取り組む方向です。

今年もCovid-19という未知の出来事で始まり半分過ぎてしまいました。
わたしは今年は絵を描くんだと勝手に思っています。
グループ企画展に参加します。お近くの方はぜひお立ち寄りください。
今後ノリーカのネットショップでも絵画の販売をいたしますので、
無理に遠出はなさらぬよう、みなさまのご健康をお祈りしております!

空想ユートピア~いのちの地球~展 Ⅴ 2020.7/4(土)~7/17(金) 会場:AAA GALLERY ALL ROOM みなとみらい線 / 元町中華街駅3番口徒歩1分
https://artaraqasia.com/access/